神成:1歳で、ちょうど自我が芽生え始めます。自分で何かをやってみたいと伝えようとしたり、あっちに行ってみたいと思って動けるようになったり。そのとき、親が「○○がしたいのね」と言って一緒に共感してあげる。それがすごく良いと思います。

大人が自分の意思をわかってくれると思えると「コミュニケーションって楽しいんだな」ということが子どもにもわかるので、今後のお友達との関係などにつながっていきます。この、共感してあげるということは、人間関係の最初の構築に関わってくるので大事だと思います。

2歳になるとイヤイヤ期に入ってくるんですが、自分でやりたいと思っている反面、指先が器用じゃないからできないんですね。親はその器用じゃないことをわかってあげて、そこだけ手伝って、あとは本人にやらせるという風にすれば良いと思います。

日実:子どもは「手先が動かないけどしたい……。でもママは忙しい」みたいなことが多いと思うのですが、どうしたら良いんでしょう?

神成:「ごめんね、今日は無理なの」って言って、気持ちをくみとってあげる。保育園で見ていても「今日は駄目なの」ってちゃんと理由を言えば、子ども達はそうかって納得をします。「でもやだ!」ってときもあるんですけど(笑)。ただ「先生がわかってくれているんだ」と思うだけでも違うんです。

そして3歳になると、だんだん会話ができるようになってきて、今度は自分の意思を話したり、お友達同士で話すことができるようになります。でも、親はそこに介入して「そうだよね、ああだよね」といちいち言わずに、見守ってあげる。

それと、3歳頃はなんでも「どうして?」「なんで?」と聞いてくる質問期でもあります。時間があればとことん付き合ってあげるのも良いとは思いますが、忙しいお母さんはいつも質問に答えてあげられるとは限りませんよね。そんなときは正直に「今は、忙しいから後でもいい?」といって、時間があるときじっくり話を聞いてあげると良いですね。
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子どもの叱り方、ほめ方

日実:今回、インタビューさせていただくにあたって、パパ・ママの悩みって何だろうと思い、ネットで検索してみました。すると「子どもの叱り方・ほめ方がわからない」という声を多く目にしたのですが、その点についてはどう考えておられますか?

神成:例えば、はさみをもって振り回していて危ないときは、「駄目!」と本気で叱るべきだと思います。あるいは、お友達に暴言を吐いて傷つける場面とか。けれど、基本的に駄目なこと以外はおおらかな気持ちで叱らないでいてあげるのが、良いのかなと思います。

日実:私は小さい時、食べ物の好き嫌いが多くて叱られてました……。全部食べるまで席を立っちゃいけません、というルールもありましたし。

神成:嫌いなものを好きになものに変えるのは難しいと思いますが、子どもに食に対する興味をもたせて嫌いなものを減らす手立てのひとつとして、モンテッソーリ園では「野菜を実際に作ったり、クッキングをして食に親しみを持たせる活動」を行なっています。その結果、人参が嫌いだったのにキャロットケーキを作ることで食べられるようになった子もいました。

私も相談を受けたことがあるのですが、好き嫌いがあるお子さんをもつお母さんには、週末の時間のあるときに、お子さんと一緒にクッキングすることをおすすめしていました。玉ねぎの皮むきでもとうもろこしの皮をむくだけでもいいんです。簡単なものでも、それが食卓に出ると愛着が湧いて意外と食べられるようになるのでおすすめです。