この自己PRでは、下線部1で「相手の不手際によるミスをただ非難するわけでもなく、自分の過ちとして反省したこと」、下線部2で「依頼書などのビジネス書類」を書けることが盛り込まれています。

実際、ビジネスの現場では「依頼が履行されなかった」とか「トラブルに関する責任の所在があいまいで、関係修復に手間がかかった」といったトラブルは起こりがちな話です。そうした事態を避けるため「取決めを書面にして残す」というのは、ビジネスの基本でもあります。学生のうちからそうした基本を身につけているというのは、有効な自己PRといえるでしょう。

「出身はどちらですか?」この質問に、あなたはどう答える?

よく言われる話ですが、面接は入試とは違います。入試は多数の志望者をふるいにかけ、残った上位の成績者を選び出す、いわば「落とす」ためのものです。しかし、面接は「落とす」のが主体ではなく、良い人材を見つけるためのものです。であれば、面接官に「自分のよさ」を感じ取ってもらう必要があります

それは、よく聞かれる「出身はどちらですか?」という質問への答え方ひとつにも表れてきます。内定者の返答例を見てみましょう。

内定者の返答例1

蜃気楼で有名な、富山県出身です。

この返答を聞いた面接官は、心の中でこんなことを思います。
「えっ? 富山では蜃気楼が見られるの?」、
「興味が湧いたなぁ。どういうことか聞いてみたくなったぞ」、
「この学生の話し方は、人を引きつけるので営業で活躍しそうだな」

面接の場が和み、会話は大いに弾みます。”蜃気楼で有名な”という言葉が、コミュニケーション力の強力なアピール、印象付けになっています。

内定者の返答例2

サッカーの街としてたいへん有名な、静岡県○○市の出身です。サッカー日本代表の○○選手の実家が同じ市内にあります。もちろん私もサッカーに打ち込みました。

この返答を聞いた面接官は、心の中でこんなことを思います。
「そうか。あの有名な○○選手と同郷なんだ」
「サッカーをしていたのなら体力や根性がありそうだな」
「話がうまく、顧客へのプレゼンは上手にできそうだぞ」

受験者と話をしてみたくなり、笑顔あふれる会話となっていきます。こちらも、“サッカー日本代表の○○選手”という言葉が、コミュニケーション力の強力なアピールになっています。

楽しんでもらう工夫がコミュニケーション力につながる

以上からわかることは、受かる人は、面接官の質問に対して、そっけない受け答えをするのではなく、面接官の興味を引く内容を盛り込んだり、さらには、さりげない自己PRを入れたりしています。

これはちょうど、繁盛しているレストランと同じです。どんな料理にもさりげない工夫がほどこされ、お客様を楽しませていますよね。面接官との会話も、ところどころに楽しんでもらう工夫をするとコミュニケーション力が非常に高い人として、評価も格段に高くなります。

(『何をPRしたらいいかわからない人の 受かる! 自己PR作成術』 P.189より)

なお近年、厚生労働省は公正な採用選考の基本として「面接における不適切な質問の例」を定めており、実は出身地に関する質問もその中に含まれています。

このような質問に対してどのような対応をとるかは、志望度合いによっても異なるので「正解」は存在しませんが「どのレベルの質問までなら答える」といった基準を自分の中で決めておくほうがよいでしょう。


いかがでしたでしょうか。自己PRは事前に提出するESだけではなく、複数回行われる面接でもその都度聞かれるものです。これから本格化する選考活動に臨む前に、今一度自分のPRについて、考えてみてください。