これは、ある業界のトップセールスの方に教えてもらったのですが、缶コーヒーなどを人に渡すときは
「プルタブを開けてから渡す」
のだそうです。
女性にとってはとくに、缶飲料のプルタブを開けるのは、意外に力が必要です。ネイルをしていたら、傷つけたくない、という気持ちもあるので、開けてから渡されるととってもうれしいものです。
ウソだと思うなら、周囲の女性に聞いてみるか、試してみてください。かならず感動されますから。飲むために手渡すのだから、ひと手間をこちらが負担する、相手が飲みやすくする、という気くばりです。
小さなことですが、この精神は他でも生かせます。
・書類を渡すときは読みやすい方向に向けて渡す
・相手が話しやすいペースで会話を進める
などです。
成功している方ほど、相手を立てる、相手を敬うことを大切に守っているのです。そうした姿勢は、人が見ていないときの振る舞いや、お礼や労いを伝える短いメールににじみ出るものです。
ちょっとした差が評価を大きく左右するのをよくご存知なのでしょう。
「ワーキングステージ」が上がった時がチャンス!
──そういえば、本書が出来上がってから、うれしい連絡が入ったそうですね。
そうなんですよ。長くお世話になっている、ある経営者の方に新刊を上梓したご報告をしたところ、
「ぼくもいつもハンカチ2枚、持ってる!」
とご連絡くださったんです。
「ハンカチ2枚持つ」は成功者のリトマス試験紙になるのではないかと、本当に思えてきました(笑)。
──どういった方に本書を届けたいですか?
マネジャークラスの方はもちろんですが、最近、部下を持つようになった方、あるいはチームのリーダーを任されるようになった方など、ワーキングステージが上がった方にぜひ読んでいただきたいです。
立場が変わるときは「自己演出」のチャンスですし、効果が大きくなります。
本書のメイン読者は男性を想定していますが、じつは女性にも参考になることがたくさんあります。
立場が変わるとケアしなくてはならない要素が多いのは女性のほうともいえます。ワンランク上の自己演出をぜひ役立ててください。
ステキな大人が増えると、ビジネスシーンが、大きなことをいうと、日本が活性化すると思うんです。
男性陣には「女性にモテるため」のかっこよさだけではなく、本当の大人のかっこよさを身につけてほしいと思います。
西松眞子(にしまつまこ)
Carpe Diem(カーペディエム)代表。対外的・戦略的イメージコンサルタント。大学職員を経てイベントプロデュース会社でマナー・接客指導にあたる。その後、心理学、色彩学を修め、2001年、トータルイメージプロデュースサロン「Carpe Diem」を開設。一貫した自己演出理論でイメージコンサルティング分野での第一人者として活躍し、行政機関、金融機関、商社、百貨店、ホテル、美容関連、メーカーなど幅広い分野でコンサルティング実績がある。
企業研修、セミナーも多数実施し、早稲田大学ビジネススクールにおいて社会人向けの印象講座も担当する。
著書に『仕事以前のビジネスマナーの常識』(講談社)、電子書籍に『一目置かれる人の9割がやっている「魅せる」話し方27』『1秒で好かれる技術 人を惹きつける自分の魅せ方30』『魅せる技術 人に好かれるコミュニケーションのポイント57』など多数ある。