体に余計な力を加えてしまう原因

自分の体に余計な力を加えてしまう原因となっているのが、「体の支え方」のクセです。

私たちは、寝ているとき以外の時間を、立っているか座っているかのどちらかで過ごしますが、この間、ずっと「体を支える活動」をしています。

そして、多くの人は、この「体を支える活動」を過剰なもの、つまり「体を支え過ぎの状態」にしているのです。

体の構造としては、背中側の背筋(はいきん)が頭と胴体を支える主な役割を担っています。前側の腹筋や首の筋は強く緊張しなくて済むのが本来の姿です。

しかし、多くの人は前側と背中側の両方の筋(きん)を強く緊張させて体を支えてしまうため、その影響によって、動きがぎこちなかったり、疲れやすかったり、心理的に不安がつきまとって、「本番になると緊張してうまくできない」といったことが起こるのです。

アレキサン②
『心と体の不調を解消する アレクサンダー・テクニーク入門』P25より

腹筋と首の筋を緊張させないようにするには、あなたの「動作の速度」に注目してください。ゆっくり動くようにすれば、筋は緊張しづらくなります。

現代の経済活動では、「速く動作をする=善であり価値がある」とされがちなので、無意識に動作を速めてしまう人がいますが、速い動作は「体の支え過ぎパターン」を定着させてしまうリスクがあります。

可能であれば1週間、ゆっくり生活することを意識してみましょう。朝の支度をゆっくり行ない、通勤のときはゆっくり歩き、仕事の仕方も気持ちゆっくりなものにし、会話をするときもゆっくり話すのです。

おそらく、ほとんどの人が、1週間後に体への負担が軽くなっていることに気づくはずです。身体だけでなく、精神面も心穏やかに過ごせることでしょう。



日本でのアレクサンダー・テクニークの知名度はそれほど高くありませんが、「余計な力を抜くこと」でパフォーマンスの向上が期待できるこの技術は、ビジネスや日常生活にも役立つものになります。

何より、この技術が100年以上も脈々と伝えられてきたことを考えれば、その効果のほどは推して知るべしです。

プロのパフォーマーが実践する「体の使い方」を知って、心身の不調を解消し、「本番に強い自分」になりたい方は、『心と体の不調を解消する アレクサンダー・テクニーク入門』をぜひご一読ください。