文章力2

■「ら」抜き言葉

 話し言葉の影響としてもっとも有名な「ら」抜き言葉。
「~られる」と「~れる」。誤用が多いことが知られていますが、使いわけが難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。「られる」には、主に「可能、受身、尊敬」の意味があります。今回は「可能」表現に限って、「ら」抜き言葉の見分け方を紹介します。

 ①「ら」を加えても「可能」の意味を失わないなら、「ら」抜き言葉です。そのときには、「ら」を加えましょう。
ら抜き1

②「ら」を加えたときに、「可能」の意味を失い、「受身」や「尊敬」に変わってしまったら、それは「ら」抜き言葉ではありません。意味が変わってしまうのですから、「ら」を加えてはなりません。
ら抜き2

要するに、「『ら』を加えても可能が可能のままなら、『ら』を加える」と覚えて下さい。(76、77ページ)

■「濃い」、「一生ものの」

他にも色々と、最近の話し言葉の影響を受けた文章の例をあげることができます。
本来ならば「色が濃い」「味が濃い」などのように使う、「濃い」を単独で使う。「一生もの」を「物」ではなく「人」に使うのも文章の違和感につながります。

濃い
(78ページ)
(79ページ)

相手に伝わる文章を作ることは、追求すればするほど奥が深いことです。しかし、まずは本来の意味を考え、言葉を探すことが大事です。
話し言葉の影響を避けて、相手に違和感を与えない文章を作ることが、「それってなにが言いたいの?」と思われないための「文章力の基本」の第一歩なのかもしれませんね。