その話、本当に正しいの? ―「帰納法」とその落とし穴

「○○は▲▲である」ということを説明するとき、論理的な説得力を持たせるならば裏付けとなるデータが欲しいところ。そのために、どこかから観察事項や事実を引っ張ってきたり、独自にアンケートを行なってデータを作ったりして、論理構築の材料として使うこともよくあります。

そうした、観察事項やデータを積み上げて類推し、それらをまとめあげて結論づける方法を「帰納法」といいます。

でも、そのときの落とし穴がひとつ。適切なデータを使わないと、逆に信頼性や説得力を損なう恐れがあります。帰納法の代表的な間違い例をいくつか挙げてみます。

その1

「ワインには水(水分)が入っている」
「ビールにも水が入っている」
「焼酎にも水が入っている」
「ウイスキーにも水が入っている」
だから、「水(水分)を飲むと、酔っ払う」

 

その2

「O型の山本くんは楽天的だ」
「O型の鈴木くんは楽天的だ」
「O型の加藤君は楽天的だ」という話から、
「O型は楽天的」といえる。

 

その3

「Aさんは就職する気がない」
「Bさんは卒業後、旅に出てしまった」
「Cさんはバイトしながら夢を追いかけている」といったことから、
「日本のフリーターが増大」という結論が導き出せる。

(『3分でわかるロジカル・シンキングの基本』P37-41より一部抜粋ののち編集)

それぞれ、どこがおかしいのでしょうか? 個別におかしな点をみていきましょう。

その1. 類似の点をまとめていない

「その1」のおかしな点は、類似点をまとめていないところにあります。