高い顧客満足度を誇るホテルとして名高いリッツ・カールトン。そのサンフランシスコ店の開業に携わったのちに日本支社長として大阪、東京の開業を成功させ、現在は「人とホスピタリティ研究所」代表として活躍する高野登氏は、様々な仕事の場面でのちょっとした心遣いの積み重ねが、血の通った人間関係を築き、信頼を生み出すといいます。その心遣いを表現するのは「ひと手間かけたひと言」、言葉です。
『リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣』では、そのような、相手の心に寄り添った言葉を紡ぎだすヒントを、自身の経験から語っています。接客業だけでなく、あらゆるビジネスパーソンの役に立つ「相手を気遣う感性の磨き方」を教えてくれる本です。そのヒントを、いくつか紹介していきましょう。
「いらっしゃいませ。今日は寒いですね」
まずは挨拶。「いらっしゃいませ」は、お客様を迎える言葉として半ば自動的に使われます。しかし「いらっしゃいませ」という挨拶は、単にそれだけを言うなら会話拒否の言葉にもなりかねない、と高野氏は言います。なぜなら、お客様にはそれに返す挨拶がないからです。
では、どんな挨拶ならお客様とのコミュニケーションが生まれるのでしょうか。それは、ひと言を添えることを心がける、ということです。
(23ページより)
「いらっしゃいませ、○○様。今日はお友達とご一緒ですか」
「いらっしゃいませ。あ、髪型、変わりましたね」
ひとこと添えるだけでお客様への関心が伝わる、想いのこもった挨拶になり、次のコミュニケーションにつながります。