世界観が企業のあり方を決定する

世界観が、社会と人材に対してどう作用するか。いまの時代は企業の「あり方」、(存在価値、ゆずれないもの)が問われる時代です。ブラック企業ではないか、など、ひとたびその「あり方」に疑念を持たれてしまうとすぐにネット上で拡散してしまう。そこで働いている人たちが気の毒なほどに、です。この「あり方」は、確固たる世界観なしには形作られないものです。

そんな時代の企業の「あり方」を表現する一人称としては、単数の「I(わたし)」ではなく「We(われわれ)」を主語とする姿勢が大事です。一企業が良ければいいのではなくみんなで繁盛しよう、そんな「あり方」が求められています。そういう姿勢に、若く、良い人材が共感し惹きつけられていく。

例えばこの近く、横浜元町商店街の入り口にあるスターバックスでは、商店街のいろいろなお店を紹介するポスターを、従業員が手作りして張り出しています。商店街全体で盛り上がっていこうね、というメッセージですね。スターバックス・ジャパンのコーポレートサイトでも「コミュニティへの貢献」を謳っています。それが世界観なんです。従業員たちは、別にそれで給料があがるわけでもないのに、そうした世界観に共感して、すすんでやっているんですね。


阪本セミナー④
阪本啓一氏

熱のこもったセミナーはまだまだ続きました。3時間におよぶセミナーの最後に阪本氏が強調していたのは、「いま、楽しんでる?」と自問することの重要性でした。わたしたちは、現在、突然ゲームのルールが変わってしまうようなビジネス環境にいます。当然苦しいときもあります。ただしそれは自分自身が貼った「苦しいというレッテル」に過ぎない。そういう苦しいことも含めて、楽しんでビジネスする。そうすれば必ずうまくいく。

受講者の大半は中小企業の経営者でしたが、阪本氏の話は、ビジネスに関わる人たちすべてに向けられたメッセージでした。そのメッセージを一冊に凝縮したのが『繁盛したければ「やらないこと」を決めなさい』です。