価格はココロが決める
どうでしょう? 設問を見てお気づきの通り、商品はどれも「コーラ・Mサイズ(350ml)」です。恐らく1のフードコートでコーラ500円は高いと思う人が大多数、2や3は(実際に注文する・しないはともかく)値段にそれほど違和感を覚えない人がほとんどではないでしょうか。もしかすると、3に至っては「場所を考えたら割安」と考える人もいるかもしれません。
この違いは、店の雰囲気やサービスを含めた「場の違い」がもたらしたもの。いうなれば「価格そのものの高低」ではなく「“この店でこの値段で売っている”ことに対し、買い手がどう感じたか」によって生じたのです。
つまり、価格とは「買い手の心理や価値観によって大きく左右される」ものであり、逆に考えると「買い手の心理や価値観をうまく誘導することができれば、高価格での購入を促すことができる」と言えます。
「高くても欲しい」気持ちを作り出す
では、視点を変えて「高くても欲しい」と消費者に思わせるにはどうすればいいのでしょうか?
そのひとつに「ポジショニング」戦略があります。一口に「ポジショニング」と言ってもいろいろあるのですが、ここでは価格と販売する場所を軸に考えてみることにします。
あなたの会社が、「こだわりの豆をこれまでの常識を覆す新製法で焙煎・抽出」というコンセプトで新しいコーヒー飲料を開発したとします。この商品の販路を考えてみましょう。候補として、下記のようなものが挙げられるとします。
現在の小売業界でトップシェアを誇るA社を主軸にするとどうなるでしょうか。A社は圧倒的な物流網を構築し全国各地に出店。「いいものを、お求めやすく」をモットーに掲げ、食糧・日用品は低価格で販売しています。
この場合、主な競合品となるのは100~150円前後で売られている缶・ペットボトル飲料です。そのため、その店を訪れる顧客も「コーヒー飲料ならだいたい100円台だろう」と認識されています。
そうした状況で「こだわりの新コーヒーが満を持して登場!」などと書いてあるPOPをつけて500円くらいで売ろうとしても、少しハードルが高く感じられるのではないでしょうか。結果として、同程度の値段かせいぜい200円くらいの値段をつけて「薄利多売」の販売戦略をとることになるでしょう。
では、高級食料品を主に取り扱っているB社や、中堅カフェのC社に卸すという戦略はどうでしょうか。