世界全史カバー

─先生はカルチャースクールで社会人にも世界史を教えられていますが、こうした人たちが歴史を勉強する意義について、どう思われますか?

先ほど述べた世界史のトレンドがどのようなものか理解できるようになると、今度は、現在の世の中の動きが過去の歴史とどう繋がっているのか、理解できるようになります。

たとえばインターネットにしても、当初はアメリカで軍事用に開発されたものですが、それが民間でも使われるようになり、さまざまな思惑が重なることで、現在のような一つのトレンドとなりました。

なぜ、インターネットがそうなっていったのか、社会人の皆さんにはぜひ考えてもらいたいと思います。特にその事象の背後にある、時代の動きや変化に目を向けてみてください。そうすれば、やがて自分で世の中に変化を起こし、トレンドを作り出すことが可能になるかもしれません。

カルロス・ゴーンなど著名な経営者には、歴史好きな人が多いようです。少しでも多くのビジネスパーソンが歴史から変化の法則を学び、動きを起こせる人材になってもらいたいですね。

─先生は長年、世界史を教えられてきましたが、昔といまとでは歴史の教え方が変わったと感じる点はありますか?

昔は、歴史の授業というと出来事の羅列という印象を持つ人が多かったと思います。いまの歴史教育ではそのような面はできるだけ抑えて、説明することを重視するようになってきています。私が教えているカルチャースクールの授業でも、「なぜ、こうなったのか?」「こことここがどのようにつながるのか?」といったように、歴史の動きが受講者の方に理解できるよう、心がけています。

─最後に、読者に本書の魅力をお伝えください。

本書を一度読んでもらえれば、大まかな世界史の動きがある程度はつかめるようになります。もしわかりにくいところがあったら飛ばしてもよいので、細かいことは気にせず、「こんな感じで歴史が動いてきたのか…」と思いながら、どんどんページをめくってください。サクサクと理解できるつくりが、本書の魅力です。世界史をほとんど知らない人にも理解できる内容ですので、少しでも歴史に興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。


みやざき まさかつ
1942年生まれ。東京教育大学文学部史学科卒。都立三田高校、都立九段高校教諭、筑波大学講師、北海道教育大学教授などを経て、現在はセミナー等の講師として活躍中。『早わかり世界史』『地図と地名で読む世界史』『世界史を動かした「モノ」事典』(以上、日本実業出版社)、『イスラム・ネットワーク』(講談社選書メチエ)、『ジパング伝説』(中公新書)、『世界史の海へ』(小学館)など著書多数。