タネさえわかればコワくない
タネさえわかればコワくない

┃メディアで多用される中身のないマジック・ワード


【ごまかすために力む言葉系】
「可能性はゼロではない」「二度と繰り返してはならない」
【誰が言っているの?系】
「市場の判断が注目されます」「国民に納得のいく説明を」
【メカニズムを考えない系】
「地球にやさしく」「教育が悪い」
【現実歪曲の決まり文句系】
「どんな小さな兆候も見逃さない」「キレる若者」

会議の場で、テレビを通じて、上司や識者が口にするこうしたフレーズがパッと耳に入ると、何となく納得してしまうケースが多いのではないでしょうか。

たとえば、長時間の会議の末にその結論として「一人ひとりができることをやろう!」などと言われると、場が締まったような雰囲気になることがあります。魔法の言葉、マジック・ワードなのですから、もっともらしく感じられてしまうのです。

マジックワードの使われ方を知っていれば騙されることはない

しかし、これらの言葉を受けて、じっくりと次のアクションについて考えてみるとどうでしょう……? 具体的な行動として何をすればよいのかわかりませんし、何となく空疎ではありませんか。

このことを別の面から見れば、たとえばあなたに部下がいるとして、彼らを動かすことを目的にこのマジック・ワードをうまく活用することも可能だといえます。たとえそれが空疎な言葉だとしても、です。

つまり、マジック・ワードはとても便利なため頻繁に使われるものでもあり、その性質を理解しておくことは、コミュニケーションにとって非常に重要なことだといえます。

そのうえで、自分の考えを正確に相手に伝えたいのであれば、マジック・ワードを使うべきではありません。本書では、前半の3章分でマジック・ワードの使用例とその言葉に対する対応例を紹介しています。

それらを把握したあと、後半の4~5章で論理的に伝えるための技術を学びます。ついつい使ってしまいがちなマジック・ワードをひとつひとつ潰して、自分の考えをしっかりと明確に言葉に書き換えていくことで論理的にものごとを表現できるようになるのです。

著者の吉岡友治氏は、日本語における小論文メソッドを確立し、ロースクールやMBA志望者に論文指導を行なう傍ら、各地の学校・企業・コンサルタントを対象に、論理的表現の研修も手がけています。

ぜひ、その手法に触れてみてください。