一般のビジネスパーソンにとって、複雑なデータ分析手法をやみくもに習得しようとすることには、あまり意味がありません。本当に必要なのは、データを有効に扱うための「思考パターン」を身に付けることなのです。
データに強くなりたいけれど……
「数字に強くなりたい」「データ分析の手法を勉強したい」……多くのビジネスパーソンの願望です。実際、ビジネスの現場ではあらゆる報告、提案、プレゼンテーションに、「それ、根拠あるの?」と数字の提示が求められます。とても「わたし、ちょっと数字が苦手で」では済まされません。
それに、会議などでデータを背景にした意見を言える人は、「この人、できる!」と尊敬のまなざしを集めます。上司からも重宝されているでしょう。数字嫌いの社員としてはうらやましい、でもやっぱり悔しい。このまま引き下がっているわけにはいかない。
さあ統計、データ分析を勉強するぞ!と勇んで向かった書店の店頭にあるのは、「多変量解析」「ベイズ統計」「データマイニング」など?な単語がおどる本。ようやく見つけた「中学数学でわかる」のキャッチに安心して購入し、読み始めてはみたものの、見た覚えのない数式に「中学数学全部忘れてました…」というのも、よくある話。なかなかハードルが高い分野です……。「どうやって勉強をはじめたらいいんだ?」
「実は、分析の専門家を除き、一般的にビジネスパーソンが“有効に”使える分析手法はさほど多くありません」とは、『それ、根拠あるの?と言わせない データ・統計分析ができる本』の著者、柏木吉基さん。「まずは使いやすい分析手法に絞り、それらを効果的に使う方法や考え方を身に付けるほうが、ずっとお得で、かしこいのです」
大事なのは分析手法ではなく「思考パターン」を身に付けること
データ分析を通じてさまざま経営課題を解決に導いてきた柏木さんは、本書で、「データ分析の知識や使える手法の数の多さが、自分の実務のパフォーマンスに直結しているとは考えていません。むしろ、多くの経験から見いだした共通の数字センス(コツ)や思考パターン(考え方)が大事なのだと痛感しています」と述べています。
「その経験とセンスがないんですけど」という声も聞こえてきます。しかし柏木さんによれば、データ分析を使ってさまざまな課題を解決する時に共通する思考パターンがあり、それは誰でも身に付けることができるし、複雑な分析手法の習得などよりもずっと重要なことだそうです。
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