20代、30代の若い夫婦にとって、「これからかかるお金」の問題は切実です。ますます不確実な将来のために少しでも多くお金を貯めておきたい、でもなぜかなかなか貯まらない……。そんな「貯まらない夫婦」には、共通する「パターン」があるようです。

年収と貯蓄額には関係がない

収入が多ければ貯蓄もたくさんできるはず。あたりまえの話のようですが、実情は違います。

「これは、ハッキリといえることなのですが、貯蓄の金額と年収は比例しません」

こう断言するのは、ファイナンシャルプランナーとして年間100名以上の家計相談を受けてきた岡崎充輝さん。著書『20代・30代で知っておきたい これからかかるお金で困らない本』(以下本書)から、こんなエピソードを紹介しましょう。

岡崎さんがお金に関する相談を受けるようになってしばらくたつと、「収入が多くてもお金が貯まらない人」と、「収入が少なくてもお金を貯めている人」の差はどこにあるのかを考えるようになったそうです。もちろん、そもそもお金を貯める意欲が低い、という場合を除いての話です。

そのうち、貯蓄をできない人たちは、「そんなにお金使っているつもりないんです」とよく口にすることに気づきました。そしてそんな人たちには、「共働き夫婦」が多いことにも。

原因は「財布は別々」にある?

日本の共働き世帯の割合は59%と半数を超えています(2012年総務省労働力調査)。また、ある調査によると、共働き世帯のうち43%がお金を夫婦別々の口座で管理しているそうです(マネーフォワード調べ)。
 
この、「共働き・財布別々」というパターンがお金の貯まらない典型だと、岡崎さんはいいます。それぞれが平均的な年収だとしても、2人合わせれば十分な世帯収入があるはずなのに、このパターンのほとんどの家庭は、収入に見合った貯蓄をしていない。

例えば、家賃や水道光熱費などの固定費を夫の口座から引き落とし、食費、日用品などの買い物は妻の財布から支払う。このようなやりくりでは、トータルでの支出管理がやりづらくなります。まさに「そんなにお金使っているつもりない」のに、いつのまにか残高が減っているパターンです。

お金の出口は少ないほうがいいのです。というよりも、出口を1つにすると出ていきにくくなるのです
  (同書167ページ)