人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

ポール・モーリア

2006/11/06 09:00

 イージーリスニングの巨匠、ポール・モーリアが亡くなった。大変な日本びいきとして有名で、かつては毎年のように日本で公演しており、40代以上で彼の曲を知らない人はまずいない。

 ポール(Paul)というのは、欧米ではごく普通の名前。モーリア(Mauriat)もなじみ深いため、普通の名字のように感じてしまうが、実はかなり珍しい名字のようだ。フランスのnotrefamilleというサイトによると、フランス中部のオーベルニュ地方にあるピュイ・ドゥ・ドーム県に多少固まっている他は、南仏やパリに若干見られる程度で、フランスの名字ランキングでは10万位あたりの稀少姓らしい。

 ポール・モーリアは南仏マルセイユの生まれで、パリで活躍した。日本でもそうだが、ある名字が、特定の田舎と都会に固まっている場合は、田舎の方がルーツと考えるのが自然。モーリア姓のルーツはおそらくオーベルニュ地方にあるのであろう。
 ピュイ・ドゥ・ドーム県の県名の元になったピュイ・ドゥ・ドームとは、オーヴェルニュ火山地帯公園にある溶岩ドームのこと。車で頂上まで登ることができるなど、観光火山として有名で、日本で言えば、さしずめ阿蘇山といったところか。
 ここから車で30分ほどのところには、ヴォルヴィック村という小さな村がある。ミネラルウォーターで有名なVolvicの水源の村である。Volvicのラベルにある中央の凹んだ山は、ここにある火山の一つで、凹みはもちろん火口。
 ポール・モーリアの音楽のルーツは火山と水源の村だとすると、なんとなく納得できるような気がする。