人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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新内閣の名字

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2005/11/07 09:12

 第3次小泉改造内閣が発表された。うわさされたサプライズ人事はなく、割と順当な人事。しかし、このブログで政治的なことを言ってもしようがないので、各大臣の名字についてみてみよう。
 名字的に一番多いのは、松田と中川でともに七万世帯強ほどあり、全国順位は50位前後。ベスト100に入っているのはこの二人だけである。ちなみに、小泉姓は全国順位で200位のちょっと下あたりで、全国には25000世帯くらいある。
 では一番少ない名字はなんだかわかるだろうか?
 「中馬」と書いて「ちゅうまん」と読むのは珍しいと感じる人が多いと思う。しかし、この名字は鹿児島には多い。薩摩で畑仕事をしている時に関ヶ原合戦のことを聞くや、そのまま関ヶ原まで走っていき、武具も途中で調達(強奪ともいう)して戦に参加したという中馬大蔵という武士は、池宮彰一郎の小説「島津莽る」でも有名。全国順位でも2000位台の名字で、“稀少”とはいいづらい。
 沓掛国家公安委員長、額賀防衛庁長官の名字も、沓掛は長野県東部、額賀は茨城県南部には多く、ともに上位5000位までに入っている。このあたりになると、“稀少”かどうかは微妙なライン。特に沓掛は、長野県の青木村では2番目に多い名字で、ここではメジャーな名字である(沓掛大臣は金沢市の出身)。
 二階経産相の「二階」という名字になると、全国でも200世帯ほどしかなく、かなり珍しい。今では二階建はおろか、三階建も普通にあるが、江戸時代以前では「二階」のある家など、滅多になかった。「二階」とはかなり誇らしい名字だったはずだ。
 さて、本題の一番少ない名字だが、実は北側国交相の「北側」という名字は、全国に100世帯もない、稀少姓である。「北川」は全国順位で200位あたりだが、一時漢字が違うだけで稀少となってしまう。「北側」という名字は、大臣の出身地である堺市とその周辺以外にはほとんどないといってもよい。
 気になるのは、北側のルーツは、いったい何の北側に家があったのだろうか、ということだ。

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