人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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全英オープンとリバプール

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2006/07/18 10:37

 今年も7月20日から、ゴルフの全英オープンが始まる。全英オープンは、全米プロ・全米オープン・マスターズとともにゴルフの4大メジャーの一つだが、その中でも別格の存在。なにしろ、今年の大会は実に第135回。第1回大会が開催された1860年は、日本でいえば江戸時代末期の万延元年になる。これは、井伊大老が桜田門外で暗殺された年というから驚きだ。
 そのため、米国のPGAツアーのサイトなどでは、全英オープンは「British Open」と書いてあるが、オフィシャルサイトでは「British」などとはいわず「The Open Championship」。ゴルフ界では唯一最高のオープン選手権(プロもアマも参加できる大会)という位置づけである。
 さて、今年の会場はイングランド北部リバプールの郊外にある、ロイヤル・リバプールCC。リバプールのゴルフ場としては、ロイヤル・バークデールや、ロイヤルリザム&セントアンズが全英オープンでも有名だが、ロイヤル・リバプールはあまりなじみがない。
 筆者は学生時代から四半世紀にわたって見続けているが、聞いたことがなかったので調べてみると、このコースで最後に全英オープンが開催されたのは39年前の1967年だった。それ以前にはしばしば開催されており、球聖ボビー・ジョーンズやウォルター・ヘイゲンといった名手が歴代勝者に名を連ねている。
 ところで、“リバプール”と綴れるだろうか。「River」+「pool」と書いてしまいそうだが、正しくは“Liverpool”。“Liver”を辞書で引くと「肝臓(レバー)」とある。しかし、リバプールの“Liver”は肝臓ではなく、「濁った水」という意味らしい。ノルウェー語の“Liflia”に由来する言葉といわれる。“pool”は水たまりだから、合わせて「濁った水たまり」というのがリバプールの語源だ。
 かつては海商都市として、近代には産業革命で栄えた工業都市であるリバプールだが、日本での知名度は、おそらく「ビートルズの出身地」としてのみではないだろうか。しかし、それも今の若い世代にはもはやピンとこないかもしれない。
 ともあれ、日本人選手の活躍を祈りつつ、さりげない薀蓄を傾けてみてはいかが。
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