人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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ジャンプで町おこし

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2006/02/06 11:08

 いよいよ10日からイタリア・トリノで冬季五輪が開催される。スピードスケートの加藤条治選手を始め、メダルの期待のかかる種目も多い。

 さて、今大会の代表選手の出身地はどこが一番多いだろうか。冬の五輪だから北海道が多い、というのは容易に想像できるが、なんと、わずか人口4000人の町から同一種目で4人もの代表をだしているところがある。
 北海道北東部、上川支庁にある下川村。名寄市北側の盆地にあり、町の面積の約9割は山林という林業の町だ。ここから、実に4人がジャンプの代表として選ばれた。メダルの期待の大きい日の丸飛行隊の代表は全部で6人。5大会連続の原田雅彦選手が北海道上川町、ノルディックから転向した一戸剛選手が青森県野辺地町出身だが、残りの4人はすべて下川町の出身。
 原田と同じく5大会連続のベテラン葛西紀明選手、リレハンメル・長野にも出場した岡部孝信選手に続いて、今回は若手を代表する伊東大貴選手、さらに下川商業高校に在学中の伊藤謙司郎選手も代表に選ばれた。
 かつて群馬県の嬬恋町が次々と男子スピードスケート選手を輩出して話題になった(しかもみんな黒岩姓!)。その後嬬恋町出身のスケート選手はあまり出ていないが、かわって下川町が“ジャンプの町”として売り出そうとしている。
 町にはジャンプ台が4基あって、使用料はタダ。ナイター設備もあって夜9時までとべるという。葛西選手はこのジャンプ台で1日100本とんだという伝説を持っているらしい。町のホームページには出身選手の紹介とともに、「下商高でともにがんばりませんか」とあり、伊藤選手の在学している下川商業高校のホームページでは、「スキーで世界をめざす中学生」を募集している。
 小さな町でも特色をみつければ世界に互せる、ということを実践している元気な町だ。
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