人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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又吉直樹のルーツ

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2015/03/09 09:44

芸人ピースの又吉直樹の小説が話題になっている。

読書家として知られている又吉だが、初めての小説「花火」が雑誌「文学界」に掲載されると、雑誌としては異例の大増刷となり、さらに単行本化が決まると初刷はなんと15万部。本が売れないこの時勢に初刷15万部というのは極めて異例で、もはや芸人というよりベストセラー作家だ。

又吉直樹、プロフィールを見ると大阪府寝屋川市出身とあるが、名字をみると、その出身地は大阪ではないことがわかる。

「又吉」という名字は、全国の名字ランキングの2000位前後で、いわゆる「普通の名字」の範疇。ただし、全国の「又吉」さんの87%は沖縄県に集中している。沖縄県の名字ランキングでは26位に入り、いかにも沖縄らしい名字の一つだ。

沖縄の名字の大半は、沖縄内の地名に由来している。現在では、沖縄に又吉という地名は見当たらないが、16世紀から18世紀頃には、今の沖縄県浦添市城間に又吉という地名があったことがわかっている。

そして、現在でも浦添市の城間や牧港を中心に、那覇市・浦添市・宜野湾市の3市に沖縄全体の又吉さんの半数以上が住んでいるなど、この地が又吉のルーツであることが、分布から読み取ることができる。
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