人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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九州の「原」地名

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2015/03/02 11:55

福岡を中心に、九州各地では「原」のつく地名を「はる」「ばる」と読むことが多い。西鉄天神から太宰府に向かう途中にも、途中に「春日原(かすがばる)」駅や「白木原(しらきばる)」駅があり、並行して走るJR鹿児島本線にある「原田」駅も「はるだ」と読む。



春日原



白木原



原田


この他にも、西南戦争の激戦地で知られる熊本の田原坂は「たばるざか」と読むし、宮崎県の新田原基地の読み方は「にゅうたばる」。また、沖縄でも本島北部の地域を「山原」(やんばる)という。

これらの地方で「原」を「はる」と読む理由については、古代朝鮮語に由来するのでは、という説が有力なようだが、はっきりしたことはわからないようだ。

しかし、「原」という漢字を「はる」と読むのではなく、「原」であらわされる地域を九州では「はる」といい、これに「原」という漢字をあてたのだろう。

「原」は平地のうち、耕作地として利用していないところを指す。こういう場所を九州では「はる」と呼んだと思われる。

不思議なのは、地名に由来している名字では、九州でも「原」は「はる」「ばる」よりも、「はら」「ばら」或いは「わら」と読むのが主流となっている。
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