人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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清運寺の千葉さな子の墓

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2014/11/25 15:59

円光院のあと、近くの武田信玄の墓や河尻塚など回ったあと、甲府駅方面に戻り、清運寺を訪ねた。実は、ガイドブックにも載っていないこの小さな寺に行くことが、この甲府行きを決めた理由の1つでもある。



信玄の墓



河尻塚


清運寺は、甲府駅の北西部の住宅地にある小さな寺。地図でみただけでは入口の場所がよくわからず、周囲をぐるっと回っているうちに敷地の横側から寺に入ってしまった。そこでたまたま墓地から出て来た尼僧の方に会い、再び墓地に戻って案内してもらったのが、千葉さな子の墓である。



千葉さな子の墓


千葉さな子は、幕末に北辰一刀流を開いた剣豪千葉周作の実弟定吉の娘。桶町千葉といわれた定吉の道場に入門したのが土佐の坂本龍馬で、龍馬と三歳下のさな子は婚約したとされるが、一緒に暮らすことなかった。

やがて龍馬は暗殺、しかしさな子は生涯独身を通し、維新後は学習院につとめたのち、鍼灸院を開いて生計を立てていた。そこに通院していたのが山梨の自由民権運動家小田切謙明で、明治29年にさな子が亡くなると、小田切家の墓所のある甲府の清運寺にさな子の墓を作った。

墓の表には「千葉さな子墓」、裏には「坂本龍馬室」と彫られている。
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