人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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鹿島神宮と塚原卜伝

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2014/10/14 10:27

JRの鹿島神宮駅で降りて鹿島神宮方面に向かうと、駅前ロータリーを出てすぐのところに銅像が建っている。この銅像、鹿島神宮の祭神武甕槌神ではなく、戦国時代の剣豪塚原卜伝である。案内板によると、どうやら駅前のこの場所が卜伝の生誕地らしい。

卜伝は鹿島神宮の神官卜部覚賢の二子で本名は高幹。のちに同族の塚原家の養子となった。鹿島神宮神官のため、生家が鹿島神宮のすぐ近くにあるのだ。
卜伝は鹿島新当流の創始者で、戦うこと数百度にして一度も傷を負ったことがないといわれ、将軍足利義輝や北畠具教ら奥義「一の太刀」を伝授したことでも知られる。小説の題材になることも多く、宮本武蔵の刀を鍋の蓋で受けたなどの逸話も多いが、その多くは事実ではない。

地図をみると、駅の反対側には卜伝の墓があるというので行ってみた。一見近そうにみえたが、歩くと結構ある。しかも歩道がなく路肩が狭いうえに車がひっきりなしに通るため、歩きづらいことこのうえない。30分ほど歩くと案内板があり、脇道にそれたところに卜伝の墓があった。山の斜面にとりつけた階段の上という不思議な場所だが、ここには梅光寺という寺があったらしい。

現在、塚原という地名は残っていないが、墓のさらに北には塚原というバス停がある。




塚原卜伝銅像



塚原卜伝墓全景



塚原卜伝墓

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