日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2014/08/11 10:57
台風の影響で2日順延して、11日から開幕となった夏の甲子園。前回に続いて出場選手の名字をみてみると、岩国高の二十八(つちや)君と並んで珍しい名字なのが、大阪桐蔭高で4番を打ちプロからも注目を集めている正随選手である。「正随」という名字は極めて珍しく、広島にごくわずかのみ。正随選手も広島からの野球留学で、おそらく一族しかいないのではないかと思われる。
ルーツははっきりしないが、「祥瑞」(しょうずい=よろこばしい前兆)という言葉に由来するものか。あるいは、徳島県には勝瑞(しょうずい)という地名があり、ここをルーツとする「勝瑞」や「正瑞」という名字が徳島を中心に山陽地方にかけて広がっていることから、その変形とも考えられる。
興味深いのは、城北高の菓選手の名字。今では「菓」という漢字からはお菓子を連想するが、「菓」という言葉は「日本国語大辞典」によると「木の実。果実」とある。この「菓」という名字は「くるみ」と読み、まさしく木の実なのだ。「菓」は熊本県北部の福岡県との県境近くにあり、山鹿市にある城北高にとっては地元の名字。
岩国高の男谷(おだに)選手も珍しく難読だが、歴史小説好きなら簡単によめそうだ。勝海舟の父小吉の実家が旗本男谷家で、子母沢寛の小説には剣豪男谷精一郎(信友)がしばしば登場する。