日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2014/02/24 15:15
先週、銀メダリストの渡部暁斗選手の「渡部」の読み方について書いたところ、では金メダリストの「羽生」はどうなのか? という声があったので、今週は「羽生」について。
確かに、今なら「羽生」という名字は当然「はにゅう」と読むだろうが、少し前なら「はぶ」と読んだ人の方が多かったのではないだろうか。将棋界初の七冠独占を達成した天才棋士、羽生(はぶ)善治がいるからだ。
「羽生」という名字は、茨城県南部を中心に関東から長野県にかけてと、種子島・屋久島を中心とした鹿児島県の二か所に集中している。そして、関東・長野では圧倒的に「はにゅう」なのに対し、鹿児島県ではほぼすべて「はぶ」。ただし、関東でも、東京都の八王子市から日の出町にかけてのみは「はぶ」も多い。
関東の「羽生」は地名由来。埼玉県には羽生市があるが、これ以外にも「羽生」という地名はいくつかある。「羽生」が最も多い茨城県行方市にも羽生という地名があり、鹿島神宮の神官の一族がここに住んで羽生氏を称したとある。
そもそも、「はに」とは関東ローム層の赤土のことで、「はにゅう」とは赤土のある場所。漢字では「埴生」と書くことが多いが、「羽生」とも書いた。東京の「赤羽」も「はに」に由来する地名である。