日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2014/02/17 13:06
ソチ五輪前半でメダルを獲得できなかった日本勢、中盤に入って各競技でメダルを獲得するようになってきた。
このうち、1994年リレハンメル五輪の河野選手以来20年振りにノルディック個人複合で銀メダルを獲得した渡部暁斗選手の名字は「わたべ」と読む。
「渡部」と書いてどう読むかは、実は地域差が大きい。全国的には8割以上が「わたなべ」で、「わたべ」は2割以下なのだが、新潟県や福岡県では「わたべ」の方が多い他、東京でも半分近くが「わたべ」と読む。さらに、人気芸人の渡部建が「わたべ」と読むことから、意外と「渡部=わたべ」と思っている人も多い。確かに「渡」は「わた」で「部」は「べ」なのだから、「わたべ」の方が素直な読み方のようにも思える。
この名字のルーツは大阪にある。大阪市の中心部はかつて「渡辺」と呼ばれ、ここに住んだ嵯峨源氏の末裔が、地名をとって渡辺氏を称したのが始まり。そして、「渡辺」は「渡部」とも書かれたことから、一族の中には、「渡部」を名字としたものもあるのだ。
渡辺は当時瀬戸内海に面した重要な湊で、渡辺一族は操船技術をもって全国に広がっていった。そして、現在では「渡辺」は全国で5番目に多い名字である。「渡部」も、「わたなべ」は全国126位というメジャーな名字で、「わたべ」も500位を少し下回るあたりに入っている。