人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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黒田官兵衛のルーツ

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2014/01/06 13:57

 今年のNHK大河ドラマは「軍師 黒田官兵衛」。黒田官兵衛は、竹中半兵衛とともに戦国時代を代表する参謀で、その子長政は福岡藩五二万石の藩祖として有名だが、実は黒田氏のルーツにははっきりしない部分が多い。

 一般的には宇多源氏佐々木氏の一族で、近江国伊香郡黒田村(滋賀県長浜市木之本町黒田)がルーツとされている。確かに同地をルーツとする黒田氏は実在しているが、それが黒田官兵衛の先祖であるという確証はない。

 これに対し、近年は赤松氏の一族という説が登場した。この説によると、祖は赤松円心の弟円光で、ルーツの地は播磨国多可郡黒田(兵庫県西脇市黒田庄町)であるとする。

 そもそも黒田氏が史上に現れるのは姫路である。従来の佐々木氏一族説だと近江から姫路に移り住んだ経緯がしっくりこない。その点、赤松氏説だともともと播磨発祥の国人ということになり、姫路で当時勢力のあった小寺氏の重臣となったのもわかりやすい。しかし赤松氏側の資料には黒田氏が登場せず疑問点も多い。

 黒田氏はおそらく播磨国に根づいていた国人だったのだろう。そして勢力が大きくなるにつれて播磨国の有力大名だった赤松氏の一族を称するようになり、さらに武家の名門佐々木氏の一族黒田氏と結びつけたものではないだろうか。

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