人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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式年遷宮と斎藤さん

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2013/10/07 12:11

20年に1度の伊勢神宮の式年遷宮が、10月2日に内宮、5日に外宮で執り行われた。この伊勢神宮の神事を取り仕切るのが、祭主という職務である。

古くは、天皇家のの未婚の女性(内親王)が斎王となって伊勢神宮に奉仕する習わしだった。

しかし、南北朝時代頃に斎王は途絶え、以後は祭主が神事をつとめた。現在では元皇族の女性が祭主つとめることになっており、長く天皇陛下の姉の池田厚子さんが祭主となっていたが、高齢のため今回の式年遷宮では黒田清子さんが臨時祭主となっている。

平安時代、朝廷には斎王に奉仕するための斎宮寮という役所があり、ここの長官を斎宮頭(さいくうのかみ)といった。平安時代、この斎宮頭となった藤原叙用が、斎宮頭の「斎」と、藤原氏の「藤」をとって「斎藤」と名乗ったのが、今に続く斎藤一族の始まり。

当時は旧字体である「齋藤」だったが、「齋」の字が複雑なために、やがて「斎藤」と書かれるようになった。また、本来は違う漢字である「斉」という漢字を代用して「斉藤」とも書かれるようになったのだ。さらに、この「斉」の旧字体を使用した「齊藤」という名字も誕生した。

現在では「斎藤」が一番多く、次いで西日本を中心に「斉藤」が広がっている。複雑な「齋藤」は少なく、最も後に出来たとみられる「齊藤」はかなり少ない。


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