人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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神田明神と銭形平次

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2013/09/17 14:00

湯島聖堂から少し北に行ったところに神田明神がある。神田明神という名前から神田駅の近くにあるような気がするが、実際には濠の外側で、駅でいえばお茶ノ水駅が近い。



神田明神の境内


神田明神はもともと江戸城内濠の近くの武蔵国豊島郡芝崎村、現在の大手町にあった。しかし、江戸城の増築に当たって外濠のさらに外側に移されたものだ。そのため、同神社の神主は代々芝崎を名字として名乗っていた。

さて、神田明神は本郷台地の端に位置している。そのため、神社のすぐ横にはかなりの高低差があり、神社から階段を下ったところが、文字通り神田明神下である。



神田明神の横にある階段


一定の年齢以上の人にとっては、神田明神下と聞くと、銭形平次を思い浮かべる。銭形平次は野村胡堂の小説「銭形平次捕物控」の主人公で、神田明神下に住む岡っ引きである。長谷川一夫主演で何度も映画化された他、20年近くにわたって放送された大川橋蔵主演のテレビドラマは高い視聴率を誇っていた。

銭形平次は架空の人物なのだが、なんと神田明神にはこの銭形平次の碑が建っている。



銭形平次の碑


その横には小さな八五郎(ガラッ八)の碑があるのもご愛敬。



八五郎の碑


ちなみに、ドラマでは毎回寛永通宝を投げていたが、原作では意外と銭を投げる場面は少ない。


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