人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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難読地名・放出

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2013/07/08 13:42

JR学研都市(片町)線で鴻池新田駅に向かう途中に、放出という駅があったので、一旦降りて駅名標を写してみた。これで、「はなてん」と読む難読地名である。地元の人以外ではまず読むことはできないだろう。



放出(はなてん)駅


難読地名らしく、由来にはいろいろな説が出されている。放牧地だったために牛馬を放った説、草薙剣を盗んだ新羅の僧道行が難破してこの地に漂着し剣を放り出した説などが有名で、なかにはアイヌ語に由来するというものもあるようだ。

しかし、低湿地だったために樋を作って余分な水を放出したことに由来する、というのが有力。一説には仁徳天皇の時代のことという。

この付近は旧大和川の流域で、かつては寝屋川などいくつもの河川が流入する沼沢地だった。そして、沼の水は西に流れて淀川に合流しており、放出はその放出口だったらしい。地名ももとともは「はなちで」と言われ、やがて「はなてん」に変化したという。

明治28年に浪速鉄道(現在の片町線)が開通して放出駅ができたことで開発が進み、沼沢地としての面影はなくなってしまった。

ちなみに、現在の放出は東西にわかれ、放出東は鶴見区、放出西は城東区と、行政上は分断されている。
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