人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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路地裏にある筒井城跡

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2013/05/16 11:17

筒井順慶の拠っていた筒井城の跡は不思議な場所にある。近鉄筒井駅を降りて、駅前の道を北へ向かい、突き当りを東に曲がってさらに突き当ると、真正面よりわずかに南側に家と家の隙間に、非常に細い路地がみえる。

一見しただけでは、奥側の家に入るための通路のように見えるが、実は家の前で折れ曲がって続いており、家の隙間をくぐりぬけて住宅地裏の畑に出ることができる。この畑の入口に「筒井順慶城址」という碑が建っているのだ。そして、真正面にあるこんもりとした盛土が本丸の跡だという。



筒井順慶城址


今までいくつもの城跡に行ってきた。なかにはもはや痕跡もないところもあったが、住宅地の路地裏にある城跡は初めてだ。しかも、戦国大名として名を知られた筒井順慶の居城が、いまでは家の裏の畑の片隅とは驚きである。

筒井城は戦国時代には珍しい平城(平地に建てられた城)であることから、廃城以降、周辺に人家が建ってこういう状況になってしまったものだろう。筒井家そのものも、他国に転出したうえに嫡流が滅亡したため、かつての城跡も保存されなかったと思われる。

なお、筒井順慶の墓は、筒井駅の隣の平端駅から5分ほど歩いたところにある、筒井順慶歴史公園内にあった。



筒井順慶の墓
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