人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

●サイト(オフィス・モリオカ)
  → https://office-morioka.com/
●ツイッター
  → http://twitter.com/h_morioka
●facebookページ
  → https://www.facebook.com/officemorioka/
●Instagram
 → https://www.instagram.com/office_morioka/

 

大塚さんのルーツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

2013/03/11 16:32

関東地方を中心に広がっている、「大塚」という名字がある。この「つか」という言葉は、地面が盛り上がっているところを指す言葉である。ということは、「大塚」とは「地面が大きく盛り上がっているところ」を指すことになる。

こうした地形は自然にもあるが、実は人工的に作られた古墳を指すことも多い。

古墳というと、教科書に掲載されていた仁徳天皇陵のような鍵穴型のものをイメージするが、実際にはただ丸く地面を盛り上げただけのものが多い。こうした場所が「おおつか」と呼ばれ、やがて「大塚」という漢字があてられた。

そして、地名となり、そこに住んだ人達が名乗ったのが「大塚」さんである。古墳がルーツであることを明示した「大墳(おおつか)」さんもいる。

こうした「おおつか」のよくわかる場所があるのでいってみた。先週紹介した等々力渓谷のすぐ近くにある玉川野毛町公園では、野毛大塚古墳が平成5年に築造された当時の姿に復元して公開されている。



野毛大塚古墳



野毛大塚古墳碑


今は住宅地の中に埋もれているが、かつて平地の中に突然盛り上がっていた様子は、まさに「おおつか」だったはずだ。

なお、この古墳は円墳と思われていたが、1988年の調査で小さな張り出しがみつかり、円墳と前方後円墳の中間にあたる帆立貝式古墳であることがわかっている。



古墳の張り出し
このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ