人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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谷根千と団子坂

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2012/05/07 13:34

連休の前半、谷根千に行ってみた。

谷根千とは、東京・山手線内の北東部、文京区・台東区の界隈を指すもので、言葉としては新しい。昭和59年にこの地域をターゲットした地域誌「谷中・根津・千駄木」が発行され、タイトルを省略して「谷根千」と読んだのが始まりだ。

この付近は山の手の一部でありながら、昔ながらの江戸の下町の風情を残していることで有名。街には猫が多く、最近は「猫の街」としても売り出しており、猫グッズの専門店もある。

行った日は、たまたま根津神社のつつじ祭りと重なっていたことから、根津を中心にかなりの人出だった。

一口に谷根千といっても、その範囲は本郷の東大の近くから、日暮里の西側までかなり広い。今回は地下鉄千駄木駅から根津あたりを散策した。

千駄木駅を降りたところの信号には「団子坂下」とある。ここから西側に向かって登る道が団子坂だ。「団子坂」というユニークな名前は、かつて団子屋があったことに由来し、文学作品にもしばしば登場する。



団子坂下


江戸川乱歩の名作「D坂の殺人事件」の「D坂」とは団子坂のことで、この作品の冒頭にも書かれているように菊人形で知られていた。夏目漱石の「三四郎」では、三四郎は美禰子の誘いで菊人形を見に訪れている。

現在の団子坂は車通りの多い普通の道。しかし、坂の上には飴細工の実演販売をする「あめ細工吉原」という店があり、にぎわっていた。



団子坂の飴細工
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