人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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巣鴨とげぬき地蔵と遠山の金さん

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2011/11/21 15:00

小春日和となった20日、巣鴨に出かけてみた。好天に恵まれて商店街はかなりの人出で、テレビの収録も行われていた。レポーターの芸人は、群がってくる子どもには目もくれず、お年寄りだけを相手に絡んでいく。そのため、テレビの画面でみると、いかにもお年寄りだけが歩いているようだが、休日だったこともあり、実際にはそうでもなさそうだ。

さて、巣鴨に来た理由はここに遠山の金さんの墓があるからだ。

講談や時代劇でおなじみの遠山の金さん、「この桜吹雪がめに入らぬか」というセリフでおなじみで、一定の年代以上では知らない人はいないだろう。

しかし、最近はこうしたワンパターンの時代劇はなくなり、歴史の教科書には登場しないため知らない人が増えてきた。まして、奉行にもかかわらず刺青があるという設定のため、遠山の金さんを知っている人でも、金さんは架空の人物と思っている人が多い。

実は、遠山の金さんは実在の人物だ。本名は遠山金四郎景元といい、父景晋は長崎奉行をつとめた高禄の旗本であった。しかも、若い頃に家を出て市井に暮らしたことがあり、実際に刺青もあったという。

遠山家のルーツは岐阜県の地名。戦国時代には美濃国東部に遠山七家という一族が広がる戦国大名で、江戸時代にも一家はルーツの地である美濃苗木藩の藩主となっていた。

本妙寺にある遠山一族の墓には案内の標識が立ち、ちょっとした観光地化している。



とげぬき地蔵



高岩寺



金さんの墓


この日もとげぬき地蔵の流れとみられる団体さんが訪れていたが、観光客の会話からは「江戸時代の裁判官だって」という声が聞こえていた。やはり金さんの知名度は下がっているようだ。
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