人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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野田新首相の誕生

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2011/09/05 09:43

30日、民主党の野田佳彦新総裁が、衆参両院の本会での首相指名選挙で第95代首相に選出された。

意外なことに、野田新新首相は千葉県初の総理大臣である。終戦時の首相であった鈴木貫太郎は千葉県の関宿出身だが、父が関宿藩の飛び地だった大阪府堺市の代官だったため大阪の生まれ。

また海軍大将から昭和天皇の要請によって就任したもので、国会議員ではなかった。つまり、野田首相は、千葉県生まれとしても、千葉県選出としても初めての首相ということになる。

名字としては、「野田」は沖縄・北関東・東北西部(出羽)以外に広く分布しており、どちらかというと西日本の名字である。

さて、名字からみると民主党の代表選挙で敗れた海江田万里経産相の方が面白い。

海江田氏は東京の生まれで選挙区も東京1区だが、「海江田」という名字のルーツは宮崎市の地名である。ここを発祥地とする海江田氏は、島津氏に仕えて薩摩藩士となったことから、宮崎県南部から鹿児島県に広がった。

「海江田」は、本来は薩摩藩独特の名字だった。ところが、明治維新後、薩摩からは新政府を頼って藩士の子弟が次々と上京したため、現在では九州南部と東京周辺の二か所に多い名字となっている。それでも、現在でも全国の「海江田」さんの半数近くは、宮崎県南部と鹿児島県にある。
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