人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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三遊亭楽太郎が6代目円楽を襲名

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2008/08/11 10:00

8月8日から北京でオリンピックが始まった。そこで、五輪関係で何か、と思っていたが、当日の朝のスポーツ新聞に気になる記事が載っていた。

記事によると、落語家の三遊亭楽太郎が、再来年春に6代目円楽を襲名することが決まったという。楽太郎は、昭和52年から日本テレビ「笑点」のメンバーを30年以上もつとめており、早くから円楽一門のホープとして活躍してきた。襲名そのものは別にどうということはないのだが、気になっているのは、実は楽太郎の本名である。

新聞記事のプロフィール欄にも掲載されていたが、三遊亭楽太郎の本名は、「会泰道」(正しくは旧字体の「會」)。これで、「あい」と読むのだ。

日本人の名字を五十音順に並べると、一番最初にくるのは「あい」である。「あ」という名字をいくつか掲載している事典もあるが、残念ながら「あ」姓は未確認。「阿」はあるが、「おか」あるいは「ほとり」と読む。また、「亜」は小説の主人公以外では確認されていない。ただし、中国や韓国から帰化した際に「あ」と読む漢字一字の人がいるかもしれないので、このあたりは微妙でもある。

ともかく、この「あい」さんの中では、「阿井」が一番多く、次いで「藍」。以下は「相」「愛」の順で、「会」という名字はかなり珍しい。「会」姓は、南関東や新潟・北海道などに点々と十数世帯ほどしかなく、楽太郎本人は東京・両国の生まれ。

珍しい名字の由来は、本人しか知らない場合が多い。円楽襲名を機に、どこかで名字の由来を語ってもらえないだろうか。
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