人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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等々力競技場ってどこ?

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2008/06/30 10:00

北京五輪も間近となり、各競技で五輪代表が続々と決まっている。
代表の選び方は様々で、団体競技の場合はまず全日本メンバーが決まってから、出場権をかけて争うことが多い(野球のように、メンバーを選びなおすこともある)。個人の対戦競技では世界選手権やW杯などの大会での成績によって個人に出場権が与えられるのが普通。一方、タイム競技では、一定の基準をクリアした選手達が選考会で直接対戦することが多い。

26日からは五輪の華である陸上の代表選考会を兼ねた日本選手権が開催された。開催場所の等々力競技場はフロンターレの本拠地としても知られるが、この場所を正しく認識している人は、サッカーファン以外では少ないのではないか。

等々力という地名は、東急大井町線の等々力駅が有名だろう。ここには、23区内にもかかわらず、等々力渓谷という渓谷まであるからだ。そもそも、「とどろき」という地名の由来は、等々力渓谷に落ちる「不動の滝」の轟く音に由来するといわれている。

しかし、等々力競技場はここではなく、多摩川をはさんだ向かい側の川崎市中原区にある。別に東京の地名を勝手に名乗っているわけではなく、中原区等々力という正式な地名である。

実はこのあたりでは多摩川をはさんで両側に同じ地名がいくつかある。「ニコタマ」として有名な世田谷の二子玉川も対岸は川崎市高津区の二子新地。もとはあわせて二子村だった。大井町線で隣駅の上野毛も、川崎市側には下野毛がある。

これらは、1つの村が多摩川の流れの変化によって分断され、さらに多摩川が東京と神奈川の都県境になったことから行政区域がわかれたものなのだ。地名はそのまま継承されたため、現在では川をはさんで神奈川と東京に同じ地名が存在している。
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