人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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タイに女性首相が誕生

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2011/07/04 09:05

3日、タイで総選挙があり、タクシン元首相派の野党、タイ貢献党が過半数を制して勝利した。

この結果、2年7ヶ月振りにタクシン派が政権に復帰するとともに、同党のインラック氏が同国初の女性首相に就任する予定。

ところで、次期首相のインラック氏は、タクシン元首相の実妹である。タイ北部の客家出身というタクシン元首相は9人きょうだいで、インラック氏はその末っ子。

マスコミでは、「タクシン」や「インラック」を名字のように報道しているが、実はそうではない。では、タイには名字はないのか、といえばそうでもなく、タクシン一族の名字は「シナワット」(Shinawatra,チナワット、シナワトラとも)である。

東南アジアは基本的に名字を使う習慣がなかった。タイでは、イギリス留学の経験のある国王が、英国の名字の習慣を取り入れたため、戸籍上は名字があるのだが、残念ながら日常生活では使われていない。

また、「タクシン・シナワット」の「タクシン」の部分が報道されるため、「タイでは日本と同じ姓−名の順」と解説している記事を見たことがあるが、これも誤り。英国の名字習慣を取り入れたため、「名−姓」の順なのだ。つまり、首相でも名字ではなく、名前で呼んでいるのだ。
インラック次期首相の「インラック」も名前で、フルネームは「Yingluck Shinawatra」である。
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