人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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老舗企業の倒産

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2011/06/27 10:46

先日、室町時代に創業した九州で最も古い企業が倒産した、というニュースが流れた。

京都では300年、400年続く企業は珍しくないが、京都以外で戦国以前に創業という企業はあまり聞かない。しかも、この会社川口分店は博多ではなく五島列島にあるという。

川口分店の創業は室町時代の文明2年(1470)で、創業500年を超える。当初は塩田を経営していたが、時代の変遷とともに業態を変ていき、近年は市中心部の商店街で食品スーパーを営業していた。しかし、大型量販店やドラッグストアの進出で業績が低迷していたという。

現在の大企業のなかには、江戸時代から続く家もいくつかある。しかし、現在では「老舗である」というだけではビジネスをつづけていくことはできない。

今でも経営の一線で活躍している老舗には、時代の流れの中で業態を変えている企業も珍しくはない。

たとえば、寝具で有名な「ふとんの西川」は、戦国時代に創業した初代は、なんと魚の干物の行商をしていた。江戸時代に出身地である近江特産の蚊帳や畳表の販売に転じ、さらに戦後蚊帳の需要が減るとみると、主力商品を寝具に切り替えることで成功した。

また、日本を代表する老舗である武田薬品も、もともとは漢方薬専門だったが、幕末に横浜に進出すると、いち早く漢方薬から西洋薬に転じて維新の波を乗り切っている。
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