人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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浅井氏の読み方

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2011/01/24 09:09

前回に続いて浅井氏について。

江の父親である浅井長政の読み方は、一般的には「あさいながまさ」といわれているが、戦国時代に詳しい人だと、「あざい」と濁って読むことがある。

というのも、戦国時代を研究している人の間では、正しくは、「あざいながまさ」である、というのが常識だからだ。大河ドラマでも、浅井氏のことを「あざい」と発音していた。

これは、平成22年に長浜市に合併した滋賀県東浅井郡浅井町という地名が、郡名も町名もともに「あざい」と濁って読んで読んでいたことや、「節用集」という資料に「あざい」と振られていることに由来している。

しかし、この本では「朝倉」も「あざくら」と読んでいることや、現在の東浅井郡が昔から「あざい」だったかどうかは確認できないことから異論もあり、「やはり、あさいが正しい」という説もあってはっきりとしない。

そもそも、歴史の資料には基本的にルビは振られていない。たとえ読み方が書いていても、濁点は振らないのが普通で、濁る濁らないというのははっきりとしないことが多いのだ。

濁るか濁らないかは、方言や発音のしかた(口を大きくあけるとか、鼻濁音を使うとか)に左右されるため、地域や時代によって異なるはずだ。清濁の違いによるルーツの違いは原則なと、と考えた方がよい。
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