人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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英国人の名前ランキング

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2010/11/22 10:05

先日、英国人の名前に関する記事が新聞に掲載されていた。

その内容を紹介する前に、そもそも、英国にはどういう名前が多いのだろうか。木村正史著「英米人の姓名」(弓書房,1980)という本に、20世紀の英国に多い名前のランキングが掲載されている。それによると、1900年はWilliam、1925年はJohn、1950年はDavid、1975年はStephenが最多だったとある。確かに、いずれも聞きなれた名前ばかりである。

今回発表されたのは2009年にイングランドとウェールズで生まれた新生児の名前のランキング。スコットランドや北アイルランドが含まれていないため、英国全体を正確に反映していない可能性もあるが、それでも大筋の傾向はつかめるはずだ。それによると、2009年の最多はOliverで、この14年間最多だったJackをかわして1位となっている。

しかし、この記事には続きがある。16位にMohammed、36位にMuhammadが入っている他、微妙にスペルの違うものが12種ほどあり、それらを合計するとOliverよりと多くなる、とある。

つまり、実質的には「モハメド」が最多で、いまや英国にはイスラム系移民が大量になだれ込み、その2世や3世を含めて大きな勢力になりつつある、ということを仄めかしているのだ。

名前の統計は、単なる流行を示しているだけではない。
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