人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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長勝寺から材木座海岸へ

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2010/11/08 10:44

安国論寺を訪ねたあとは、長勝寺に向かった。

安国論寺を出て、横須賀線の名越の踏切をわたったところに長勝寺がある。鎌倉時代にこの地方の領主だった石井長勝が日蓮に帰依し、邸宅内に庵を立てたのが始まりといい、当初は本国寺と呼ばれていた。

室町初期に本国寺が京都に移転したため一旦廃寺となったが、のち日静によって再建され、石井長勝にちなんで石井山長勝寺となったと伝える。

長勝寺は本堂の前に巨大な日蓮の銅像があり、その周囲を四天王が取り囲んでいる。それほど広くはない境内に巨大な四体の銅像が所狭しと並んでいるわけで、ちょっと不思議な空間だ。清閑な雰囲気の漂っていた安国論寺とは対照的な光景だ。



長勝寺本堂前・入りきらない四天王像が並んでいる


このあとはさらに南下して材木座海岸まで歩いたが、途中には来迎寺、実相寺、補陀洛寺などが立ち並ぶ。いずれも由緒のある寺で、狭い地域にこれだけいろいろな寺が密集しているのは、さすがに古都を感じさせる。

このうち一番気になったのは実相寺。2006年に亡くなった実相寺昭雄監督のルーツは九州といい、大分県にはルーツとみられる実相寺村という地名もあった。



実相寺


しかし、現在「実相寺」という名字は東京や神奈川にわずかしかない。関東から東北南部にかけては実相寺という寺がいくつかあり、どこが実相寺姓の由来なのかはわからないが、鎌倉の実相寺は有力な候補の一つだと思われる。
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