人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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日蓮と安国論寺

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2010/11/01 15:12

先日、天気のいい日に鎌倉に行ってきた。

JR鎌倉駅で降りて駅前のバスターミナルに出ると、ちょうど反対側にあるバス停から、逗子方面のバスが発車寸前だった。

あわてて飛び乗ったものの、路線も確認していなかったため、車内の路線図をみながらあれこれ相談していると、乗り合わせた複数の乗客が、安国論寺なら「名越」ですよ、と教えてくれた。さすが観光都市、迷っている観光客には慣れているのだろう。

わずか3つで名越につき、パスから降りると、目の前に「安国論寺入口」という大きな看板があった。これなら迷わない。住宅地の中を少し歩いたところで、正面に安国論寺が見えてきた。ここは日蓮が「立正安国論」を執筆した場所として知られている。



安国論寺


日蓮は鎌倉の名越の松葉ヶ谷の岩屋に庵を結び、ここで「立正安国論」を書いて、文応元年(1260)北条時頼に建白した。しかし、「立正安国論」に反感を持った人達が日蓮の庵を襲撃したため、この付近は松葉ヶ谷法難の地とも言われている。

のちに弟子の日朗が安国論屈寺、日現が要法寺を建立し、やがてこの2つの寺が一緒になったのが、今の安国論寺である。

寺の入口には賽銭箱こそあるものの無人で、境内はひっそりとしたたたずまい。何があるというわけでもなく、広大な境内を持つわけでもないが、世間とは隔絶した、ゆったりとした時間の流れる空間であった。
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