日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2010/04/19 09:22
さて、川西池田駅前で源満仲公の銅像を撮影していると、ロータリーに1台の路線バスが入ってきた。なにげなくその行き先をみて驚いた。そこには、なんと「紫合」とあったのだ。
「紫合」行きバス
銅像は動かないが、バスは発車してしまう。あわててバス乗り場を目指して走り、撮影したのが下の画像だ。今ひとつはっきりしない写真になったが、1日に数本しかないため、次のパスが来るまで待つわけにもいかない。
この地名の読み方は難しい。というより、知らない限り全く読むことはできないだろう。「紫合」とは猪名川町の地名で、これで「ゆうだ」と読むのだ。
「紫合」には地名の由来が伝わっている。近くを流れる猪名川の靄が、夕方には紫色の雲となり、西鏡寺の境内にあった松の大木に重なりあって漂っていたことから、この松は“紫雲の松”と呼ばれていた。その松が枯れたとき、根元に光るものがあり、掘るとそこから薬師如来が出現したという。そのため、もともと地名だった「ゆうだ」に「紫合」という漢字をあてたのだと伝えている。
そもそもの地名である「ゆうだ」とは「結の田」という意味ではないだろうか。結(ゆい)とは、集落における共同作業のことである。さて、この近くには地名に由来する「紫合」という名字もある。難読の名字には、難読地名に由来するものも多い。