人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

●サイト(オフィス・モリオカ)
  → https://office-morioka.com/
●ツイッター
  → http://twitter.com/h_morioka
●facebookページ
  → https://www.facebook.com/officemorioka/
●Instagram
 → https://www.instagram.com/office_morioka/

 

選挙と案分票

このエントリーをはてなブックマークに追加

2009/08/31 10:55

30日、4年振りの総選挙が行われ、自民党がわずか119議席という歴史的な大敗北を喫した。

31日の新聞には選挙区別に各候補者の得票数が掲載されているが、実はここに掲載されているのは概数で、厳密には一部の選挙区では小数点以下の得票がある。それが、案分票といわれるものだ。

案分票とは、同じ選挙区から似た名前の候補者が立候補している場合、どちらか判別のつかない票を機械的に振り分ける票のことである。

一般的に、投票用紙に名字だけを書いて投票しても有効である。しかし、1つの選挙区から同じ名字の候補者が複数立候補している場合は、名字だけではどちらに投票したのかわからない。そこで、こうした票は、二人の得票数に応じて比例配分するのだ。

たとえぱ、1つの選挙区から「山本」さんが2人立候補しており、その得票が6対4だったとしよう。この場合、「山本」とだけ書かれた投票用紙は、0.6票と0.4票として両候補に加算される。

たとえば、愛媛3区で自民党と民主党の両方から「白石」さんが立候補しており、「白石」としか書いていなかった票は案分された。

小選挙区制度では1人しか当選しないため、比例配分される案分票が当落を左右することはないが、市議選などでは同姓の候補が多いうえ、僅差で争われることから、案分の行方が当落を決めることもあり、落選した側が不服を申し立てて裁判になることもある。

今回の選挙では、複雑な案分事例もあった。山口1区の候補者は、自民党候補が「高村」と書いて「こうむら」と読み、民主党の候補は「高邑」で「たかむら」。「高村」は普通「たかむら」と読むし、「高邑」という名字は珍しいため、「たか村」「こう邑」といった書き間違いが出る可能性が高い。

こうした票を無効にするにか案分するのかでは、当落を左右する可能性が高いとして、事前に選挙管理委員会が統一見解を作成して、開票所に指示を出しているようだ。

山口県選挙管理委員会のサイトによると、当選した自民党の高村正彦候補の得票は、142,103.117票、落選した民主党の高邑勉候補の得票は94,253.880票と、小数点以下3桁まで記されている。
このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ