人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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アキノ大統領とフィリピンの名字

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2009/08/03 10:48

8月1日、フィリピンのコラソン・アキノ元大統領が亡くなった。

「アキノ」という名字が日本にも存在することもあってなんとなく親しみもあり、日本でも知名度が高かった。しかし、Corazon Aquinoという綴りをみてもわかるように、この名字は日本とは全く関係なく、スペイン系の名字である。

歴史的にみても、フィリピンは16世紀後半にスペインによって征服され、以後300年以上にわたってスペインの植民地であった。19世紀末には一旦独立したものの、今度は米国の植民地となり、完全に独立したのは戦後のことである。そのため、アジアとはいいながらスペイン系の名字の人が多い。

しかし、国民の大多数はアジア人のマレー系で、富裕層には中国からの華僑が多いとされる。アキノ大統領も中国系。結婚前の名字はCojuanco(コファンコ)といい、これも名字としてはスペイン系なのだが、家系的には福建省出身の華僑の大富豪である。

名字ランキングをみる限り、フィリピンは完全にラテン系の名字構成である。スペイン語は、子音の多い英語と違って母音が多いため、稀に日本語としても成り立つ発音の名字がある。「アキノ」もフィリピンでは第16位にランクされる、かなりメジャーな名字である。

フィリピンの名字ベストテン
1サントスSantos
2レジェスReyes
3クルーズCruz
4バチスタBautista
5オカンポOcampo
6ガルシアGarcia
7メンドーサMendoza
8トマスTomas
9アンドラーダAndrada
10カスティーヨCastillo

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