人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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川勝静岡県知事の名字

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2009/07/06 10:29

5日に投開票された静岡県知事選で、民主党系の川勝平太氏が、候補の一本化の失敗や知名度不足という問題を乗り越えて僅差で当選し、地方選での民主党の勢いが続いていることを印象づけた。

ところで、今回当選した川勝知事、地元静岡出身でないのは名字でわかる。かつては、地方の知事といえば地元出身者がなるというのが相場だったが、近年はそうとも限らない。岡山出身の橋本大二郎高知県知事あたりから、県外出身者であることは、決定的に不利な要素とはならなくなったようだ。

「川勝」さんは全国に数千人おり、名字ランキングでも2000位を少し下まわるあたり。数だけみれば珍しいというわけではないが、特定の地域に集中しているため、見たことのなかった人が多いだろう。

「川勝」という名字は、京都府の亀岡市と南丹市の旧八木町を中心に、周辺の京都府南部や大阪府北部、兵庫県の東部に全国の7割以上の人が住んでいる。

戦国時代、京都府南丹市美山町には国人領主の川勝氏がおり、弥勒菩薩のある広隆寺を建てたことでも知られる秦河勝の末裔と伝えている。室町時代には足利将軍家に従い、戦国時代にはこの地域の有力武将であった。江戸時代には同市八木町に豪農の川勝家もあり、この付近に集中している川勝一族は、この秦河勝の末裔であろう。

また、川勝家本家はのちに徳川家康に仕えて旗本となったことから、川勝という名字は東京都にもまとまった数がみられる。

川勝平太氏は京都府亀岡市の出身。渡来人秦氏の末裔に連なる一族であろう。
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