人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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浄妙寺と鎌倉の由来

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2009/06/08 10:26

鎌倉の郊外にある浄妙寺に行ってきた。



浄妙寺


ここは鎌倉五山にも名を連ねる由緒ある寺だが、鎌倉の中心地からは少し離れていることもあって、一般的な知名度は低い。



浄妙寺本殿


この寺には、鎌倉の地名の由来があるというので、寺の入口で訪ねてみた。すると、寺の中ではなく脇の道を通って裏山に登れ、という。道は途中までは舗装していたが、途中からけもの道のようになった。それでもきちんと階段構造にするなど、手入れはされている。階段を登り切ると鳥居があり、鎌足稲荷神社という小さな祠が鎮座していた。



鎌足稲荷神社


さて、鎌倉の地名の由来だが、なんと藤原鎌足だというのだ。案内板によると、鎌足は乳児の時に稲荷大神から鎌を授けられていたが、大化の改新の翌年、東国を旅している時に由比が浜でお告げがあり、その鎌をここに埋めたという。このことから「鎌倉」という地名ができたというのだ。

もちろんこれは伝説にすぎず、実際には地形由来というものが有力。他にもアイヌ語起源説や、「神倉=かみくら」や「高麗座=こまくら」から変化したなどと言う説もあり、定説はないようだ。

ちなみに、藤原鎌足というのは晩年の名前(藤原姓を賜ったのは死の床についてから)で、もともとは中臣鎌子といった。生まれた時に白い狐が来て鎌を足元に置いたことから「鎌子」と名づけられたといわれている。
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