人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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『鹿児島の名字』

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2009/04/13 09:07

先日、鹿児島県の地元紙、南日本新聞に「鹿児島の名字」という本が自費出版されたという記事が掲載されていたため、問合わせてみた。



『鹿児島の名字』表紙


送られてきたのはA4サイズで153ページもある冊子。内容は、電話帳に掲載されている名字に読みがなをつけて五十音順に配列し、収録件数を記したものがメイン。それに若干の解説がつけられている。

単純といえばその通りだが、これでなかなか貴重な資料である。最近の電話帳は、昔と違って完全な五十音配列となっていることから、名字の並びから読み方を類推することができる。とはいっても、人口の少ない町村や、かなり特殊な読み方の場合は、電話帳だけでは読み方がわからない場合もある。この冊子の著者は、直接ご本人に問合わせて読み方を確認しているのだ。

もともと電話帳なので、問合わせをしようと思えば、その番号にかければよい。というものの、見ず知らずの人に名字の読み方を教えてください、と電話するのはなかなか勇気がいることだ。

また、電話帳を定点観測することで誤りにも気がつく。たとえば、かつて掲載されていた「香香」という名字が、実は「加香」の誤りで、次の版で訂正されたこともあるという。

南日本新聞に掲載されるや、ひっきりなしに電話がかかってきて、初版はあっという間に完売したといい、私の手元に届いたのは二刷であった。また、自らの名字の由来などを教えてくれる方も続出したという。

読み方だけではなく、その由来や伝承も含めた、続編の発行を期待したい。
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