人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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アカデミー賞と本木雅弘

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2009/03/02 10:03

映画「おくりびと」が、アカデミー賞外国語映画賞を獲得した。

この映画に主演したのは「シブがき隊」出身の俳優の本木雅弘。今の本名は「内田」のようだが、結婚前までは「本木」は本名だった。

ところで、「もとき」と聞くと、まずどういう漢字を思い浮かべるだうろか。筆者の場合は、まず「元木」。これは「元木」の方が数が多いことに加えて、西日本では「元木」が多く、さらに甲子園やプロで活躍した元木大介選手の影響が強い。キャップ数79というラグビー界の鉄人元木由記雄選手も記憶に新しい。

「元木」姓は全国順位では1400位あたり。前記の元木大介、元木由記雄両選手が大阪出身のため、大阪の名字と勘違いしそうだが、実は徳島県に集中している名字である。この他では香川や山形にも多い。一方、「本木」の全国順位は2000位を少し下まわるあたりで、東日本の宮城・山形・群馬・埼玉・長野などに多い。それぞれの県内でも特定の地域に固まっており、群馬なら伊勢崎市、埼玉なら桶川市、長野なら松本市の旧四賀村に集中している。

モックンの出身地は埼玉県で、やはり桶川市の生まれ。新聞によると、市内で十数代にわたって続く農家の出だという。名字のルーツは定かではないが、おそらく地名由来だろう。「本木」という地名は各地にあり、それに由来する「本木」さんが、各地に点々とある、と考えるのが無難なようだ。

地元では、緊急に「桶川市栄誉賞」の制度を制定、第1号として授賞することにしている。
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