人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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樋口姓について

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2009/02/16 09:49

今年のNHKの大河ドラマ「天地人」は、関東地区の視聴率が25%前後という「篤姫」を凌ぐ好調な滑り出しをみせている。

第7回の放送では母が死去、続く第8回では謙信が急死して、いよいよ兼続は景勝の股肱の臣として、歴史の表舞台に登場するようになる。ということは、そろそろ「樋口兼続」という名前での登場も終わりそうだ。そこで、「樋口」という名字についてみてみたい。

「樋口」とは、「樋」の入口という意味。といっても、近年では「雨樋」すらわからない人も多いだろう。「樋」とは、雨樋に限らず、水を流すための管のこと。従って、川から田んぼに水を通す管のことも「樋」という。つまり「樋口」とは川や湖からの取水口のことを意味しているのだ。

こうした場所が「樋口」といわれ、そこに住んだ人達が「樋口」を名乗ったため、樋口さんのルーツは各地にある。中でも一番有名なのが、信濃樋口(長野県辰野町)をルーツとする樋口氏だ。木曾義仲を育てた中原兼遠の子が樋口に住んで樋口兼光と名乗り、義仲四天王の一人として活躍したのが祖。

越後の樋口氏はこの末裔と伝え、兼光から数えて13代目にあたる兼定の時に坂戸城主の長尾家に仕えたという。この兼定の孫が高嶋政伸演じる樋口兼豊(惣右衛門)で、兼続はその長男にあたる。

現在、樋口姓は全国各地に分布しているが、一番多いのは新潟県。中でも魚沼地方に多く、中魚沼郡の旧中里村では村で一番多い名字が「樋口」だった。
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