人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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浅間山が噴火

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2009/02/02 11:25

2日未明、浅間山が噴火し、火口から4キロ以内では50センチ程度の噴石が飛んだ。

浅間山は世界でも有数の活火山で、昨年8月にも噴火している。ただし、今回の方が規模が大きいようだ。

浅間山の「浅間」とは火山を意味するともいわれる。富士山にある浅間神社も、一般には「せんげんじんじゃ」と言われるが、「広辞苑 第六版」には、正式には「あさまじんじゃ」であると記載されている。今でこそ噴火していないが、かつては富士山も噴火していたことを考えると、「浅間」とは火山に関係する言葉と考えていいだろう。

富士山とともに、古代から日本を代表する火山であった阿蘇山の「あそ」の語源にはいくつかの説があるが、その中に南方系の言葉で火山を意味する言葉に由来する、というものがある。「あそ」「あさま」という音からみて、同じ系統の言葉であると考えることには違和感はない。

江戸時代、富士山信仰が各地に広まり、富士山麓を中心に全国で1000を超えるという浅間神社がつくられた。そして、神社のある地が「浅間」と呼ばれるようになった。富士山にちなんだ「○○富士」が全国にあるように、「浅間」という地名も各地に広がり、火山でない場所にも「浅間」地名ができたのだ。そのため、「浅間」という地名の本来の意味をわかりづらくしているともいえる。

浅間山で中規模の噴火があったのは4年前。江戸時代中期の天明年間の大噴火では、溶岩流で1500人の死者が出ただけではなく、天明の大飢饉を引き起こして東北などで10万人規模の死者が出ている。その影響はヨーロッパにも及び、直前のアイスランドでの大噴火とともに、フランス革命の遠因にもなったという説もあるほどの巨大なものだった。

今回の噴火が早めに収束することを祈りたい。
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